ITってぶっちゃけ

IT業界は3Kだった

ふるさと納税で使われている税金!

初めてふるさと納税を申し込んでみました。返礼品を何にするか少し悩みましたが、今回は毎月届くお米にしてみました。届くのが楽しみです!まだ金額に少し余裕があるので、他の返礼品も申し込んでみようと思います。

申し込んでしばらくすると、納税先の自治体から封書が届き、「寄附金控除に係る申告特例申請書」という書類に必要事項を記入してマイナンバーカードの表裏コピーを同封の封筒に入れて返送しろ、とのことでした・・・愕然としました。

 

マイナンバーカードは作るのちょっと面倒でしたが、一回作ればあとは全部オンラインで楽々手続きができると思っていたのですが、違ったのですね。しかも何ですか、マイナンバーカードのコピー同封って。パソコンに入力した手紙の文章を画面を見ながら手書きで便箋に書き写して切手を貼って封筒で送るような徒労感があります。

あまりに腹が立ったので、この昭和的な紙のやりとりにどのくらいの税金が使われているか試算してみました。

 

まず、おそらく必要と思われる事務作業手順、作業時間、コスト等を表にまとめました。

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自治体職員さんの一通あたりの作業時間はおよそ8分、紙や印刷のコストは25円ほどかと思います。

また、ふるさと納税の受け付け件数は右肩上がりで増えていて、昨年実績が3489万件だそうです。

【Excel配布中】ふるさと納税の市場規模、利用率、人気返礼品など最新データまとめ | ふるさと納税ガイド (furu-sato.com)

これを掛けると、

・職員作業時間→3489万件x8分→約465万時間/年

 →作業コスト→69億7800万円/年(日本人の平均時給1500円で計算)

・紙、印刷代→3489万件x25円→8億7225万円/年

ということで、だいたい年間78億円くらいかかっていることが分かりました。

 

この作業を全国の自治体で共通で使えるシステムに置き換えた場合、入力・登録・更新画面とデータベース構築くらいなので構築費はせいぜい1〜2億円くらいでしょうか。あとはマイナンバーシステムと住民税のシステムとの連接機能の改修費がそれぞれ2〜3億円くらい(もう少しかかるかな)だとすると多くても10億円くらいですかね。これなら初年度で楽々損益分岐点を越えそうな気がするのですが、どうでしょうか。官公庁のシステム更改サイクルはだいたい5年ですので、5年間でざっくり300億円相当の業務効率化になるんじゃないでしょうか。ふるさと納税の申し込みは毎年増えているのでもっとかもしれません。

 

さらに、国民負担もばかにならないです。一申込あたりの作業時間が20分でコピー代が20円(モノクロ2枚)かかりますから、同じく時給1500円換算プラスコピー代x3489万件で181億円/年換算(5年間で905億円)の国民コスト負担になっています。これがオンラインで3分で済むことになればシステム化の効果は絶大ですよね。

デジタル庁長官、石倉洋子さんでしたっけ?なんとしても早急にシステム化をお願いします。切実に

 

※試算過程に抜け漏れ誤り等ありましたらご指摘ください

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ミスのない完璧な仕事

自民党の新総裁と閣僚が決まりました。個人的には今回の総裁選はとても楽しく見ていました。各候補が「日本をこうしたい」という想いをぶつけ合って、見ていてとてもワクワクしました。同時に政治って複雑で難しいなと改めて思いました。ITシステムの開発が複雑で困難で、一般の人たちが思うようには簡単には行かないのと同じだと思いました。

 

ただし、今回の党役員人事には実は少し懸念を抱いています。選ばれた人の中に、過去の不正疑惑など、突っ込まれる要素を抱えている人がいるからです。新体制のメンバーがどんなに良い政策を行ってもそれはほとんど評価されず、野党やマスコミによる個人攻撃が際限なく繰り返される場面が容易に想像できます。その結果、建設的な政策論議を行うための時間が無くなり、日本の政治が停滞してしまうことが心配です。

 

システムの開発をやっていると、「設計書の誤字脱字は許さない」とか「プログラムのバグなんて言語道断」という考えの人に多く出会います。どんなに素晴らしい機能を持ったシステムでもです。もちろんバグなどの誤りは良くないことですが、100%誤字やバグを無くすのと90%の正しさで良しとするのとの間には倍半分くらいの労力の差があります。問題の本質は10%の誤りの中身が致命的な悪影響を及ぼすものなのかどうか、または誤りの無い90%の中身がどれほど有益かだと思います。

 

例えば、設計書の文章の「てにをは」は間違っているが設計の意図に影響を及ぼさないような場合はシステムの最終的な能力に影響を及ぼしませんし、画面のレイアウトが微妙に設計書と異なっていてもシステムの本来の機能が有益ならばコストをかけてレイアウトを整形する費用対効果は低いと思います。にもかかわらず、心情的または機械的にこの10%の誤りをなんとかしようという方針のもとに作業を進めることが、日本のシステム開発の生産性を大きく低下させている要因になっていると思います。

 

これは日本人のもともとの気質、つまり減点法的な思考に依るところが大きいのかなと思います。実際、私も設計書のレビューやプログラムのテストに携わることがありますが、誤字脱字やささいなバグを見つけるとなんとなく嬉しくなって上から目線で指摘して仕事した感に満足してしまうことがあります。ああ自分も日本人なんだなぁと思うのですが、子供の頃から繰り返し「お行儀良く」とか「人に迷惑をかけるな」などと間違いを正す躾けを受けてきたことを思うと、減点法的な思考はもはや自分の原点になってしまっており、簡単には変えられない部分なのかなとも思います。

 

自民党の役員や閣僚の人事の話に戻すと、野党やマスコミが与党のあら探しに時間を費やすことは、与党に一定の緊張感をもたらすことは確かですが、これを際限なく繰り返すことは国の生産性を低下させることになると思います。また、このような状況を見てうんざりする日本人は一定数いるとは思いますが、減点法的思考を持つ多くの日本人は政策の良い面よりもミスや欠点のほうに無意識に比重を置いて見てしまうのです。つまり、野党やマスコミは正しいマーケティングに基づいて自らの利益のためにそれを取り上げているので、簡単には改善することは難しいでしょう。

 

ここまで書いて改めて自分の中に結論が無いことに気づきましたが、日本人の気質(つまり野党やマスコミから見た顧客ニーズ)が変われば、もしかしたら良い方向に向かうかもしれません。あるいはこれは、日本人が次のステップに進化するために必要なハードルなのかなとも思います。

 

先日、うちの一番下の子供と話しをた時に「俺は人のアラ探しをする人がきらい」と言っていて「おやっ?」と思いました。また、最近のSNSでは承認欲求を満たしたい若者を大勢見かけます。なので、もしかしたら私が年甲斐もなく青臭い義憤に駆られる必要などはなくて、若い人を中心に、実は既に日本の次の進化は始まっているのかもしれない!と思ったりもしています。

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客観的評価のすすめ

総裁選がいい感じに盛り上がっていますね。

私は普段あまり政治に興味はないのですが、漠然と、楽しくてかっこいい日本にしてくれる人に首相になってほしいと思っています。あと、税金と社会保障費はとにかく酷い、大幅に値下げして頂けるようご検討よろしくお願い申し上げます。もちろん実現可能な財源確保とセットで。

 

先日、総裁選関連の記事を読んでいたら、三原じゅん子議員の面白いツイートが紹介されていました。野田聖子さんの推薦人になった方ですね。

彼女はツイートで、議員の総裁選投票の判断基準として9項目を挙げていらっしゃいました。

1.派閥の圧力

2.選挙区事情

3.選挙の顔

4.恩や義理人情

5.日頃の付き合い

6.思想、信条

7.政策

8.人柄

9.出世

 

私も仕事で複数の案を検討する時はこんな感じの評価項目(コストとか工数とか難易度とか)を決めて比較表を作ります。各項目毎に点数を付け、項目に重みを付けて合計点の多い案を採用するあれです。この表を作ることで、案を客観的に評価できるのと、検討結果をあちこちに根回ししなければいけない場合も有効です。

 

別に仕事じゃなくても、テレビを買う時とか引越し先の物件の比較とか転職先の会社の検討とか、日常生活でもこれを行うことで冷静な検討ができますね。家族で夏休みの旅行先でモメた時などにも使えます。直感で何かを決めるのもありだと思いますが、個人的にはあとで後悔することも多かったので、このように評価を見える化することで客観的かつ冷静に比較を行うことができると思います。

 

政治家の方は時々モヤっとした言葉で国民を煙に巻くことが多いかと思うのですが、三原じゅん子さんは物事を客観的に見て思考することができる人なのかなと思いました。

 

ちなみに私的には10番目の項目として「実行力」があっても良い気がしました。政策はいいけど実行できなかった、みたいだと困っちゃいますので。ただ、政治の世界は一般の個人で言う所の「実行力」とは少し違うかもしれません。例えば私は個人的に何かやろうとする場合「明日やろうは馬鹿野郎」的にずるずると先延ばししてしまうので実行力はかなり低い点数になります。ですが政治家はたとえ自分個人がすぐに行動できたとしても最終的に他の人や組織に動いてもらわなければ実行できたことにはなりません。そのため、どれだけ協力者が多いか(または敵が少ないか)、根回しが上手いかが実行力の大きなファクターになると思います。

 

さらに政治家の場合面白いのは、議員各自によって各項目の重み付けが全く正反対になることがありそうなことです。例えば「3.選挙の顔」にほぼ全振りで「7.政策」は0倍とかはありそうですね。全議員の評価表をぜひ見てみたいです。

 

ちなみにGoogleで「三原じゅん子」で検索すると、検索ワード候補の上位に「ヘアヌード」と表示されて、別にやましい事をしているわけでは全然ないのにドッキリして慌ててブラウザを閉じてしまいました。みなさんネットで彼女の政策を調べる時は周りに人がいないか注意です。

というわけで、今後、個人的に三原さんには注目していきたいと思いました。

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政治家はプレゼンのプロだと思ってました

先日「プレゼンテーション研修」なる研修の講師をやる機会がありまして、私は全然プレゼンのプロでも何でもないのですがシステムの提案書の説明などで多少の経験はありましたのでまあ基本くらいは話せるだろうと引き受け、「シナリオ準備」「事前練習」「プレゼンターの見た目」の三本柱で話そうと決定し、丸一日の研修を二回ほど実施いたしました。

そうこうしているうちに総裁選が盛り上がって、たまたま四人の候補者の演説やテレビ討論会などを見る機会がありました。政治家の方々はプレゼンなんて楽勝でこなすのだろうなと思っていたのですが、意外に皆さん普通の人っぽいところもあってちょっと親しみが湧きました。

 

河野太郎

「重要だと思う」「速やかに対応」「議論が必要」など、テンプレ的な単語をうまく散りばめて説明の練習を積んでいる印象を持ちました。断定的な口調には説得力を感じますが、ありふれたテンプレ的な強調語(非常にとか凄くとか絶対にとか)を多用する受け答えが多いので、自分の言葉で語りかけるという観点ではちょっとアピールが弱い印象を受けました。くどいというか飽きるというか。Twitterでは結構自分の言葉で語っていらっしゃるのにもったいない。失言を恐れているのかもしれませんが。

また、身振り手振りはかなり適当で話しの意味内容と合っていない(「非常に」と口で言っているのに前へ進める手振りだったり)ので、口パクがズレている歌手を見ているような、気になって話が全然頭に入ってこない時間帯もあったので、身振りも話のテンプレにマッチするように練習しておいたほうが良い気がしました。

 

岸田文雄

プレゼンの苦手な課長が四苦八苦しながらお客さまに一生懸命製品の説明をしているような感じで、とても好感がもてました。部長に常日頃から「お前は説明が下手だ、もっと堂々と話せ」と怒られているんだろうなという想像をかき立てられるような、見ていて「がんばれ、課長」と応援したくなるような感じでした。時々、「えー」とか「あー」とか言って話が止まる時は、たぶん思考が瞬断して頭が真っ白になってるんだろうなと想像でき、大事な場面で何度も同じような状態になったことのある私としては強い共感を覚えます。頭真っ白の対策としては経験上、ひたすら事前練習(リハーサル的な)です。私の場合、一回のプレゼンのために都合丸二日分くらいかけて一人でブツブツ呟いて発表練習をすると真っ白になることはほぼ無くなります。なので、政策のパターン毎に話す内容を決めておきひたすら部屋で受け答えの練習しておくと良いのではと思いました。ただ、司会者から想定外の話を振られた時は諦めるしかないですけれども。

 

高市早苗

どの話題も澱みなくすらすらと受け答えをしていたので、おそらく、事前に政策を練ってシナリオ化し各種の数字なども暗記して、さらにそれを言葉にする練習にもかなりの時間を割いて準備しているように感じられました。素晴らしいですね、プレゼンのお手本だと思いました。時々関西弁が出てくるのもアクセントになって、長い話でもストレスなく聞ける感じでした。あとはご自身の信念に基づいて話していらっしゃるので、ありふれた強調語を用いなくても言葉や表情にこもる熱意だけで強調ポイントが伝わって来る感じがしました。ただ時々、発言を始めた直後に一瞬「やべっ」という表情になって取ってつけたように笑顔になるのは、それはそれで可愛いのですが、たぶん鏡の前での作り笑いの練習が不十分だったのかなと感じました。話すときの作り笑顔、超大事ですね。常に笑っていると怪しい宗教勧誘みたいになってしまいますが、話の流れの中でタイミングよく作る笑顔は聞き手の心を和ませます。

 

野田聖子

準備期間が短かったということで仕方ないのかもしれませんが、自分が詳しくない話題を振られると思いっきり目が泳いで言葉に詰まってしまう場面が多く、「がんばれ!」と応援したくなりました。あとは、オフィシャルな言葉遣いに慣れていない印象(仕事のメールを話し言葉で書いてしまう新入社員みたいな)で言いたいことは頭の中にあるのだけれど単語が出てこなくて言葉に詰まるような印象を持ちました。たぶんフランクな場では裏表なくとても楽しく気さくに話ができる人なんだろうなと思いました。政治家っぽく無いところが好印象ですね。

 

日本人は政策はよく分からないけど何か変えてくれそうという雰囲気だけで判断する人が多い気がするので(たとえはうちの高齢の両親)、プレゼンの専門家を雇ってコーディネートを受けると立派な総裁(首相)になれるのではと思いました。本来は政策の妥当性で判断すべきだとは思いますが、ここまで社会が複雑化してしまうと政策の内容を完全に理解してもらうのは難しいと思われるので、ある程度見た目の印象による判断になってしまうのは仕方ないことなのかなと思います。

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